銘柄紹介

Terra/LUNA(ルナ)暴落! 何が起きた?

Terraとは

Terraは米ドルや韓国ウォンなど各国の法定通貨に連動するステーブルコイン**を発行することを目的とした韓国発の暗号資産プロジェクトです。

テラには2つのトークンがあり、1つ目はステーブルコイン**(UST、KRWなど)、2つ目はガバナンストークンである「LUNA(Terra)」です。LUNAはTerraエコシステムで使用され、通貨の安定性を保つためやプロジェクトの方向性の議決する際などに使用されます。

USTの価格調整の仕組み

さて、ここでTera/Lunaに何が起きたかを知る前に、USTの仕組みを知る必要があります。USTの最大の特徴は、資産の裏付けを行っていない無担保型(アルゴリズム型)のステーブルコインだということです。1UST=1米ドルとなるように設定されています。テラは発行する法定通貨とペッグしたステーブルコインの価格を安定させるため、独自のアルゴリズムを採用しており、そのシステムに使用されているのがLUNAなのです。

簡単に言うと、USTの価値を保つためにUSTが1ドルの価値からずれた時に、USTとLUNAを交換したり、発行したり、焼却したりして価値を保つ仕組みです。

USTとLunaの価格調整の仕組み

USTの価格が上昇した ⇒ USTでLUNAを購入しUST供給量を増加させて価格を下げる

USTの価格が低下した ⇒ LUNAでUSTを購入して価格を下げる

[このようにお互いの価格に合わせて供給量を調節する仕組み]

またTerraは将来的にUSTの価値を保つためにBitcoinを担保にする予定だったので、Bitcoinを大量に保有していました。

何がおこったのか?

それでは、2022年5月に何が起こったのか時系列で見てみましょう。
UST(現USTC)と旧LUNA(LUNC)の動向・価格推移は以下の通りです。

UST(現USTC)
USTC_YTD_graph_coinmarketcap-2.jpg (1000×451)
旧LUNA(LUNC)
LUNC_YTD_graph_coinmarketcap-1.jpg (1000×449)
UST(現USTC)

5月7日
→TerraのDeFi「Anchor」から巨額の出金が行われ、信用不安がささやかれる
5月9日
→USTが1ドルを維持できなくなる
5月11日
→USTが0.5ドルを割り込む
5月13日
→USTが0.1ドル台に下落

旧LUNA(LUNC)

5月6日
→1万円台を推移
5月8日
→8,000円台を割り込む
5月10日
→4,000円台を割り込む
5月11日
→100円台まで急落
5月12日
→1円台まで急落
5月13日
→0.003円台まで急落

1.USTを意図的に大量に売って価格を下げることを仕組んだ者がいた。取引所でレバレッジをかけて大量の Terra USD を売却した。流動性が極端に下るタイミングを見計らって仕掛けたと言われている。

2.それによってUSTの価格が1ドルからずれてしまい、ペグ外れを加速させた。

3.テラフォームラボ社は保有していたビットコインを売ってUSTを買い支え、価格を保とうとした。

4.ビットコインの大量売却でビットコインが暴落。市場全体に混乱は波及し、USTの価格下落は止められなくなる。

5.さらに追い打ちをかけるように、パニックになった投資家たちが Anchor に預け入れられた UST をどんどん引き出し、売却していったため、更にUSTの売りが加速し価格が下がる。

6.UST が売られすぎると、価格維持のために Luna が発行される。それが、このアルゴリズム型ステーブルコインの仕組みであった。

7.LUNAを大量発行したことによりインフレが発生し、LUNAの価値が下落していく。

8.LUNAの価格下落に伴い投資達による Luna の売り圧力もどんどん加速し価格も大暴落していく。

9. 結果的に Luna の価格は 99.9% 下落し、Terra USD はステーブルコインであるにもかかわらず、96% も下落した。

一連の騒動で消失した価値は、日本円にして総額6兆円以上とも言われています。

暴落後

暴落後は新Terraの発表があり、USTから新トークンUSTCに名前を変えて、再起を図ろうとしています。新LUNAは新たなTerra2.0チェーンで発行され、旧LUNA保有者に新LUNAがエアドロップ(無料配布)されました。それにともない、旧LUNAはLUNA Classic(LUNAC)となりました。

2022年6月時点で、USTとLUNAは暴落したままになっており、価値を取り戻す気配はありません。旧LUNA・新LUNAともに、まだまだ不安定な値動きが続くと見られます。