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アバランチ(Avalanche/AVAX) とは? -特徴や将来性を解説-

アバランチは、ビットコインやイーサリアムと同じレイヤー1のパブリックチェーンです。アバランチはその処理性能の高さを生かし、低コストかつスピーディな取引速度を実現しました。そしてその主な目標は、分散型金融(DeFi)のためのプラットフォームになることです。

イーサリアムチェーンがスケーラビリティ問題(処理遅延・手数料高騰)に直面した際、アバランチはイーサリアムキラー(イーサリアムに代わるブロックチェーン)の1つとして注目を集めました。超高性能のブロックチェーン機能をいくつも備えたアバランチの特徴を、あらためて掘り下げていきます。

アバランチの基本情報

通貨名称 Avalanche(アバランチ)
ティッカーシンボル AVAX
発行開始 2020年9月
総発行枚数 7.2億枚
公式サイト Avalanche公式サイトへ
ホワイトペーパーURL https://www.avalabs.org/whitepapers
公式ツイッター https://twitter.com/AvalancheAVAX

 

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アバランチの特徴

処理スピードがはやく手数料が安い

アバランチは、クレジットカードのVISAやMasterCardに匹敵する処理性能を誇ります。1秒間に少なくとも4,500以上のトランザクションを処理し、瞬時に取引を決済することが可能です。ちなみにビットコインは1秒間に7取引、イーサリアムは1秒間に15取引なので圧倒的な速さです。手数料も1トランザクション数円~数十円程と激安です。

ビットコインやイーサリアムなどの従来のブロックチェーンでは、「すべてのノードで作業を行う」ので取引数が多くなるほど遅延します。しかしながら、アバランチでは全てのノードが同一のデータを保有する必要がありません。アバランチでは一部のノードだけが特定のトランザクションを承認する方式を採用しました。全てのノードにデータが行き届く時間を待つ必要がなく同時並行にて承認が可能です。

なお、処理性能に優れるAvalancheですが、セキュリティ性能や拡張性にも長けています。下記のように10段階以上にわたる確認と処理を得て正しいトランザクションであることを確定させるシステムがあるからです。

avax-consensus.png (1000×500)

アバランチ自体はパブリックチェーンになりますが、カスタマイズすることで様々な定義づけも可能になります。例えば権限の設定やプライバシー機能などを高めることも可能です。

イーサリアムとの互換性を持つ

イーサリアムのスケーラビリティ問題を解消した多くの仮想通貨が発行されましたが、そのほとんどがイーサリアムとの互換性がないことで、全体をつなげたときに上手く運用できないのが問題となっていました。これをインターオペラビリティ問題と言います。

一方、アバランチは「EVM」と呼ばれるプログラムを変換しコンピューターへと伝えるイーサリアム独自の処理実行環境を備えており、イーサリアムとの互換性を持っているため、他の仮想通貨より優位に立っています。現在はまだイーサチェーンが仮想通貨市場を圧巻しており、イーサチェーンを使用しないと参加できないIEOプロジェクトや購入できない通貨が多くあります。またNFT、ゲームなどでもイーサチェーンが多く使われています。しかしEVMを備えることで、イーサリアム基盤のDAppsをアバランチで対応させることが可能となりますので、今後互換性の高いアバランチへイーサリアムから移行するプロジェクトが増える可能性も考えられます。例えば、元々イーサリアム上で稼働していたAAVEやSushiswapは、すでにアバランチ上でも利用できるようになっています。

バーンでトークンの流通量をコントロールすることで価格を高値で安定させることができる

アバランチのネイティブトークン(独自通貨)はAVAXで、アバランチを使用する際に必要な代金はAVAXによって支払う必要があります。例えば、ステーキングやトランザクションの手数料、プライベート型にカスタマイズする際の支払い等の代金です。そして支払われたAVAXは支払い後にBurn(バーン、焼却)されることになっています。

これにより、市場に流通するAVAXの量が減少するため、1AVAXあたりの希少性は上昇します。つまり、アバランチが使用されるほどAVAXの価格は高騰する仕組みになっているのです。これによりアバランチの価値価格を高値で安定させることができるようになっています。

誰でも簡単にNFTを発行できる

AvalancheWallet(アバランチ専用ウォレット)を作ることでそのシステム内で「誰でも簡単に」NFTを発行することができます。またスマートコントラクトでの資産取引を行うため、高セキュリティで安心した投資が可能です。さらに発行したNFTを別のウォレットに送ることもできるため、他のNFTマーケットプレイスで売買することもできます。アバランチが手数料として機能するので、他の仮想通貨を持っていなくても取引ができます。

DeFi市場の拡大に大きく貢献している

アバランチの主な目標は、分散型金融(DeFi)のためのプラットフォームになることです。

パブリックチェーンでありながらも、後述する独自の「サブネット」を活用することでプライベートチェーンにカスタマイズすることが可能です。これは各国によって金融業界の法律が異なることに対応するための仕組みであり、分散型金融だけでなく既存金融にもブロックチェーンを導入する未来を想定しています。

多くのユーザーがアバランチのDeFiを利用することで、市場価値を高めているのは間違いないといえるでしょう。

アバランチの仕組み

独自のコンセンサスメカニズム「アバランチ・コンセンサス」

分散システムの45年にわたる歴史において、コンセンサス問題に対するアプローチは、クラシカルアプローチ、ナカモトアプローチ、アバランチアプローチの3つしか存在しません。「クラシカル・コンセンサス」の問題を解決するために誕生したのが、「ナカモト・コンセンサス」ですが、「クラシカル・コンセンサス」に残された処理性能の問題を解決したのが「アバランチ・コンセンサス」です。

分散型システムにおけるコンセンサスでは、全てのノードが常に同じデータを保有していることで安全性と透明性を担保しています。そして、全てのノードが全てのトランザクション情報を確認し合意することで、ファイナリティが実現される仕組みになっています。しかし、この場合、ノードの数が増えるほど安全性は高まるものの処理速度は低下していきます。アバランチ・コンセンサスではクラシカル・コンセンサスの利点にナカモト・コンセンサスの大規模な分散化を加え、高い性能向上を得られることが証明されています。

アバランチ・コンセンサスは、ナカモト・コンセンサスと同様に確率論的なアプローチを取りながら、全てのノードが全てのトランザクションを承認するのではなく、確率論的に覆ることがないとされる割合のノードのみが承認します。同時に複数のトランザクションの承認作業を行なっているため、並列処理によって処理性能を高めることができ、1秒間に4,500トランザクションの処理を可能にすることがきました。下図のように、アバランチ・コンセンサスは「ナカモト・コンセンサス」と「クラシカル・コンセンサス」の両方の問題を解決するコンセンサスとなっています。

アバランチコンセンサス表.png (1000×500)

3つのブロックチェーンが存在

Avalancheのプラットフォームには、用途の異なる3つのブロックチェーンが存在します。

Pチェーン(Platform Chain) メタデータを記録しバリデータとサブネットを管理を行います。ステーキングに利用されます。バリデータがネットワークに参加する際には、PチェーンにAVAXをステーキングします。
Xチェーン(Exchange Chain) 主に資産の保管に使用されます。トークン管理用のブロックチェーンで高い処理性能を持っており、独自通貨の生成と交換を可能にします。エコシステム全体で資産の即時交換を実現しました。
Cチェーン(Contracts Chain) スマートコントラクトに使用されます。DAppを構築できます。イーサリアムとのインターオペラビリティを実現しているため、イーサリアム上で発行されたERCトークンやアプリケーションをアバランチ上で動作させることが可能です。

AVAXトークンは3つのチェーン上で流通していて、チェーン間で自由に動かすことができます。それぞれの機能に特化したブロックチェーンによって、効率よくネットワークを稼働させています。

サブネットを作成できる

アバランチでは、独自のブロックチェーンである「サブネット(Subnet)」を作成できます。サブネットは「小さなアバランチ・ネットワーク」という意味です。サブネットでは独自トークンを発行したり、バリデータのために独自のインセンティブを設けることも可能です。また、サブネット内ではプライベート型及びパブリック型ブロックチェーンを生成でき、参加者をオープンにすることも制限することもでき、用途に合わせて活用できます。

作成されたサブネットは、他のサブネットともインターオペラビリティがあります。サブネットを作成するにはAVAXによる支払いが必要で、サブネットの作成に使用されたAVAXはBurn(バーン、焼却)されます。

なお、サブネットに参加する場合は、必ずアバランチのメインネットワークに参加しなければなりません。従って、サブネットの数が増加するにつれてメインネットワークに参加するバリデータの数も増加し、結果的にネットワーク全体の分散化が進むことでセキュリティ性能を高めることができるという設計になっています。

 

アバランチの将来性

アバランチは多くの可能性を秘めた非常に有望なプロジェクトで、その将来性は高いと思われます。以下に注目すべき点を記します。

「イーサリアムを超える仮想通貨といわれている」

近年ではSolana(ソラナ)やCardano(カルダノ)などのイーサ・キラーと呼ばれるレイヤー1の仮想通貨が成長していますが、そのなかでも有望なのがAvalancheです。処理スピードが速く、高セキュリティ、その上手数料が格安で、イーサリアム自体はおろかイーサ・キラーと呼ばれる仮想通貨でさえアバランチには追い付けません。今後は様々なDeFi関連プロジェクトがアバランチ(AVAX)で開発される可能性が高く、その場合はAVAXの価格も上昇するでしょう。

Avalancheが既に導入されているアプリケーションが多数ある

Avalancheは、主に分散型金融(DeFi)のためのプラットフォームになることを目指して開発が進められています。しかしDeFi以外にも、サブネットを活用することで様々なシーンでアバランチブロックチェーンを使用することができます。

NFT(Non-Fungible Token)

Polyient Gamesがアバランチ上にNFT専用の取引所を開発しました。NFTオークションや独自のNFTが発行可能です。

またアバランチ独自の取り組みとして、「NFTスタジオ」が開発されました。Avalancheウォレットを接続することで、プログラミングの知識がなくてもNFTを発行し、マーケットプレイスに出品できるサービスです。

ゲーム

アバランチは、ゲーム領域でも幅広く活用されています。NFT専用の取引所では、ゲームキャラクターやアイテムが売買されていますが、イーサリアムでは、ゲームキャラクターやアイテムを売買する度に高い手数料が生じてしまうため、需要が高まるにつれてイーサリアムの手数料高騰の影響を強く受けてしまいますが、アバランチを利用することで、格安の手数料や高いスケーラビリティを利用できます。NFT市場でもアバランチは徐々にその存在感を高めつつあります。有名企業から総額約250億円の資金調達を受けています。

大手プロジェクト・有名企業から多くのサポートや注目が集まっている

  • 2021年9月:プライベートトークンセールで250億円以上の資金調達に成功。
  • 2021年11月:大手デロイトがアバランチブロックチェーンを導入。
  • 2021年12月:Mastercardが仮想通貨市場の発展を見越して会社として仮想通貨プロジェクトを支援していくその対象としてアバランチの開発チームAva Labsを選出。
  • 2022年3月 MetaMaskがアバランチに対応開始。スワップ機能も提供されており、AVAXとUSDTなど29銘柄以上の通貨が交換可能となる。
  • 2022年4月:アバランチ開発企業が約440億円の資金調達を実施。
  • 2022年5月:米ValkyrieがAVAX投資信託をローンチ。
  • 2022年10月:OpenSeaが7つ目のサポートブロックチェーンとしてアバランチを選択、アバランチのメインネットで発行されたNFTが売買可能に。

 

アバランチの購入方法

2022年10月現在、国内取引所ではOK Coin JapanでAVAXの取り扱いがあり、日本円で購入できます。販売所、取引所での取引が可能です。(OK Coin Japanのサイトはこちらから

また、より取引高の多い取引所をお探しなら、BINANCE等の海外取引所を利用する方法もあります。まずは国内取引所でビットコイン等の仮想通貨を購入し、海外取引所に送金してアバランチ を購入するという手順になります。

CoinMarketCapによると現在取引高が多いのはBINANCE、COINBASE、Kucoin、Krakenです。CoinMarketCapでは取引通貨ペアも調べられますので国内取引所で仮想通貨を購入する際の参考にしてください。

CoinMarketCapの使い方はこちらをごらんください。

ステーキングの仕方 – Avalanche Wallet-

アバランチはプルーフオブステークを採用しているためステーキングが可能です。AVAXのステーキング方法は、主に2通りがあります。

  1. Binance等の海外取引所のステーキング/レンディングサービスを利用する(初心者向け)
  2. アバランチ専用のウォレット「Avalanche Wallet」でステーキングする(中級者以上向け)

海外取引所のステーキングサービスを利用

比較的簡単に始められます。例えば、BINANCEでステーキングする場合は、BINANCEの口座を開設し、AVAXを購入(または送金)し、「Earn」→「Simple Earn」→「AVAX」で簡単にステーキングを始めることができます。預け入れる期間によって利回りは異なります。

アバランチ専用のウォレット「Avalanche Wallet」でステーキングする

独自ウォレットである「Avalanche Wallet」でのステーキングもおすすめです。こちらは秘密鍵を自分で管理できるというメリットがあります。現在、ステーキングの期待利回りは約14%となっており、Binanceより多少利率が高めとなっています。

1. Avalanche Walletのアカウント作成

Avalanche Walletは、アバランチ・ブロックチェーン上の仮想通貨ウェブウォレットです。ウォレットの作成はこちらから→【https://wallet.avax.network/

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  1. 「CREATE NEW WALLET」をタップ。
  2. 「GENERATE KEY PHRASE」をタップし、24キーフレーズを書き留めて「ACCESS WALLET」をタップする。このキーフレーズはウォレット復元に必要ですので必ず厳重に保管しておきましょう
  3. 「Verfity Mnemonic」でさきほど表示されたキーフレーズを選択する。
  4. 「Congratulations! ACCESS WALLET」が表示されれば完了。

 

2. 取引所で購入したAVAXをAvalanche Walletに送金します。

スクリーンショット-405.png (1000×446)Avalanche Walletとの間でトークンを振替するには、対応するチェーン・アドレスを選択する必要があります。互換性のないネットワークにトークンを送ると、資金を失う可能性があります。

取引所からAVAXを送金する場合は、必ず、どのチェーンに対応可能なのか確認しましょう。通常、AVAXトークンはX-Chainウォレットに入っていて、送金にXチェーンを使う場合もあります。しかし、バイナンスおよびMetaMaskウォレットはC-Chainとのみ互換性があり、C-Chainのアドレスを使います。C-Chainのアドレスは0から始まります。送金の前には、必ず、注意深く、使用するチェーンとアドレスを再確認してください

初めての送金は必ず最低送金額でテスト送金をし着金を確認しましょう。誤ったアドレスに送金申請をすると、送金した仮想通貨が返ってこなくなる可能性が高いです。

3. Avalanche WalletのAVAXをXチェーンからCチェーンに交換する

無事にAvalanch WalletにAVAXが着金したら、XまたはCチェーンにあるAVAXを、Pチェーンにエクスチェンジ(交換)します。Avalanch Walletでステーキングができるのは、Pチェーンのみだからです。

スクリーンショット-403.png (1000×539)
  1. 左のメニューバー「Cross Chain」を選択タップ
  2. 「Source Chain」→XまたはCチェーン、「Destination Chain」→Pチェーンにそれぞれ設定し、交換する数量を入力して確認をクリックすれば交換完了
  3. なお、Cチェーンへのエクスチェンジの際には、手数料として0.001AVAX(約10円)が発生するので、ウォレットに手数料分のAVAXを残しておきましょう。

4. ステーキングするAVAXの数量とバリデーターを選択する

最後に、Avalanch Walletでステーキングの設定をします。

スクリーンショット-404.png (1000×447)
  1. Avalanche Walletを起動し、メニューバーの「Earn」をタップ
  2. デリゲーター一覧から、AVAXをデリゲート(委任)させるデリゲーターを選択する
  3. デリゲートするAVAXの量と、ロック期間(デリゲートする期間)を入力する
  4. 最後にデリゲートを承認し、デリゲートが完了
  5. 報酬のアドレスを確認する。P-Chainウォレットアドレスが表示されるので、CONFIRM をクリックする。
  6. その後、委任の詳細が表示され、AVAX報酬の獲得が開始される。

なお、デリゲーターとしてステーキングを行うには、最低でも25AVAXが必要です。

 

まとめ

アバランチはイーサリアムキラーとして非常に注目されているブロックチェーンです。多くの可能性を秘めた、将来非常に有望なプロジェクトですので是非注目してみてください。