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カルダノ(ADA)とは? -イーサリアムを超えられるか?―

カルダノはイーサリアムの創設者の一人で、天才数学者として知られるチャールズ・ホスキンソン氏(Charles Hoskinson)によって設立されました。エイダ(ADA)は、カルダノと呼ばれるプラットフォーム上で使用される仮想通貨です。

カルダノは分散型アプリケーション(DApps)を開発するためのプラットフォームです。(イーサリアムやテゾスと同じ) カルダノは、カルダノブロックチェーンがこれからの産業のために様々な分野で社会基盤として活用されることを目指しています。そしてその最終ゴールは世界中の個人・企業・政府が使用する金融アプリケーションの運営を可能にし世界的な金融インフラを作ることです。カルダノは世界のための金融および社会的オペレーティングシステムを創出しようとしています。

壮大な目標を掲げているカルダノですが、その開発はまだ完成していません。現在は、開発におけるロードマップに示された5つのフェーズのまだ第3フェーズにあります。にもかかわらず、現在は時価総額で第5位となっており、これほどまでに期待が高いのはどんな技術や哲学を持つからなのでしょうか。一体、カルダノとは何なのか、そしてそのロードマップにはどのような機能が計画されているのか、それを見ていきたいと思います。

Cardano/ADA(カルダノ/エイダ)の基本情報

項目名称/通貨単位 Cardano/ADA
発行上限 450億枚
コンセンサスアルゴリズム Proof of Stake (PoS
公開日 2017929
開発 Input Output Global
創立者 Charles Hoskinson
公式サイト https://cardano.org/
公式Twitter https://twitter.com/Cardano
公式Facebook https://www.facebook.com/groups/CardanoCommunity

 

カルダノを支える3つの組織

開発は下記の3団体により進められています。

  1. Input Output Global(IOG)(インプット・アウトプット・グローバル)
  2. Cardano Foundation (カルダノ財団)
  3. Emurgo(エマーゴ)

IOG(インプット・アウトプット・グローバル)

IOGはIT技術に関する研究開発を行う会社で、カルダノの開発を行っています。開発チームには分散型ネットワークを構築する際に重要となる分野の専門家や大学教授が多くいます。また有能なプログラマーも多いため、カルダノプロジェクトは常にGithubの活動度ではトップとなっており、ブロックチェーン開発活動が活発に行われていることがわかります。尚、2021年2月、名称がInput Output Hong Kongから Input Output Globalへと変更されました。

Githubとは?

ソフトウェア開発で広く活用されている主流のプラットフォーム

カルダノ創設者のチャールズ・ホスキンソン氏はIOG代表(CEO)として活動を行なっています。

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IOG(IOHK)公式サイト

カルダノ財団

カルダノ財団はスイスに拠点を置く独立した標準化機関で、カルダノエコシステムの促進を目的としています。財団の使命は、プロダクトの普及、商業化に関して必要な法的措置を実施し、コミュニティや提携先などに対応することです。この取り組みには多くのアンバサダーたちも協力しています。(アンバサダーは無償で活動してくださっています)

カルダノ財団公式サイト

EMURGO(エマーゴ)

Emurgo(エマーゴ)はカルダノブロックチェーンを採用するプロジェクトや組織の構築、投資及び助言をすることによってカルダノの採用率を上げ、エコシステムの成長を支援します。エマーゴは2017年6月から東京、2018年5月からシンガポールに登記されています。

EMURGO公式サイト

 

なぜカルダノなのか?―カルダノの特徴―

最先端の学術的研究に基づいて開発される。

カルダノの独特なアプローチの一つは、科学的な哲学と科学的証拠を基にしなければならないということです。IOGは研究者と共に基礎研究を行い、そのほとんどが最高レベルの国際カンファレンスにおける発表で学術的に査読を受けています。

多くの仮想通貨プロジェクトは走りながら開発を行っているので後から問題が発覚することが少なくありません。しかし、カルダノは、学術的に正しく安全な設計であると確信されてから開発しているため後から問題が起こることがないと言われています。またカルダノはブロックチェーンの最先端の学術的研究を行いながら、既存のブロックチェーンの問題解決を行っています。そのため、カルダノは現在のブロックチェーンの問題を解決しつつ、さらに発展していく仮想通貨として信頼されているのです。

PoSアルゴリズム Ouroboros(ウロボロス)

カルダノのコンセンサスアルゴリズムは「ウロボロス」と呼ばれるプルーフ・オブ・ステーク (PoS)で、カルダノで一から開発された独自のコンセンサスアルゴリズムです。初めて学術研究を基盤に構築されました。PoSはビットコインなどが採用するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)と違いネットワーク維持に膨大な電力を消費することなく、51%攻撃にもあいにくいという利点もある一方、攻撃パターンも多くよりリスクの高いアルゴリズムのため安易に採用が難しいと言われています。そのため、カルダノはその堅牢性の確保のために、より数学的な厳密さを求め、学会にて査読を受けた論文に基づいて設計を行うことで、学術的に安全性の証明されたPoSプロトコルの実装を実現しています。

新スマートコントラクト技術Plutus(プル―タス)

プル―タスはカルダノ独自開発の新たなスマートコントラクト技術です。スマートコントラクトは通常契約を自動化するものですが、プルータスはそれだけではなく、個人情報の記録も行ってくれるのが魅力です。社会的要素(各国の税金スキーム、コンプライアンスや個人情報など)も盛り込んで処理ができるよう開発されました。

またプル―タスはビットコインやイーサリアム等でよく用いられているPythonやJava Scriptではなく、関数型プログラミング言語であるHaskell(ハスケル)をベースとしています。ハスケルは一般的にはPythonやJava Scriptといった現在より広く扱われているプログロミング言語よりも難解であると考えられていますが、一方でハスケルでは論理的な間違いが生じにくいためスマートコントラクトに向いているといいます。こうした特性から現在は金融業界などを中心によく利用されている言語であり、カルダノはハスケルを採用しました。

プラットフォームが2つのレイヤーによって構築されている

従来の仮想通貨のブロックチェーンは1層からのみなり、1つのシステムですべての取引が管理されていました。しかし、カルダノはブロックチェーンをAccounting(会計)部分を受け持つSettlement Layer(SL)とComputing(計算)部分を受け持つComputing Layer(CL)の二つのレイヤー(層)にわけ、ひとつの台帳(SL)に対して、複数のCLが紐づけられるようにしました。ADAの取引などの決済とトランザクションを追跡するのがSL、スマートコントラクトとアプリケーションの実行を行うのがCLです。先述のプル―タスはこのCL部分で走らせます。この仕組みにより、新たな開発を行った際にも既存のシステムに影響を与える事は限定的になるため、積極的に開発を行う事が可能となったのです。

これが、カルダノが第3世代の仮想通貨と呼ばれる理由です。第1世代の仮想通貨が、ブロックチェーン技術を元にしたビットコインであり、第2世代の仮想通貨がイーサリアムです。イーサリアムでは契約の自動化を可能にするスマートコントラクトという機能が実装されましたが、ひとつの台帳で全てを管理しようとしたため、多様なルールをひとつの枠組みの中に内包する必要が生じてしまい、安全性も損ないやすい構造となってしまいました。カルダノでは個別に修正が必要な案件や条件などをCLとして個別に修正、調整することが可能なため、トラブルも少なく、スマートコントラクトに対してより柔軟に取り組めるようにしています。

 

カルダノの開発計画(開発ロードマップ)

先述のように優れた特徴をもつカルダノですが、まだ開発途中のプロジェクトです。では、今後の開発計画はどのようになっているのでしょうか。

ロードマップは5つの開発フェーズ(開発期)に分かれて有名な人物名にちなんであります。Byron(バイロン)・Shelley(シェリー)・Goguen(ゴーグエン)・Basho(バショウ)・Voltaire(ボルテール)の5期です。それぞれのフェーズにそれぞれの取り組むべき重要な主題があります。

2021年7月現在、ゴーグエンと呼ばれる開発段階にあたり、5月28日に「Alonzao(アロンゾ)」と呼ばれるゴーグエン期最後のアップデートプロセスをテストネット上で開始したと発表しました。

  1. バイロン:  最初の技術開発期、基礎づくり(2017年9月29日~)
  2. シェリー:  分散化、ステーキングの開始(2020年7月30日~)
  3. ゴーグエン: スマートコントラクト(2021年第2四半期予定~)←今ここ!
  4. バショウ:  プロトコルの最適化、スケーラビリティ、相互運用性の開発
  5. ボルテール: プロジェクトのガバナンス

Byron(バイロン)

最初の技術開発期、基礎づくり(2017年9月29日~)

バイロン期ではユーザーはADAを取引・売買できるようになりました。また、IOGからADA専用公式ウォレット「ダイダロスウォレット」、EMURGOから迅速なトランザクションとデイリーユースを目的に開発されたライトウォレット「ヨロイ」が提供されました。

Shelley(シェリー)

分散化、ステーキングの開始(2020年7月30日~)

コンセンサスアルゴリズムのOuroboros・PoS(ウロボロス・プルーフ・オブ・ステーク)への切り替え。これによりADAを利用したステーク委任が可能となり、ノートがコミュニティによって実行されるようになりました。主なノードは「ステークプール」として稼働し、ADAの保有者からステークの委任を受けてブロック生成をします。プルーフ・オブ・ステークによってネットワークが完全に分散化され、またすべてのADA保有者がカルダノブロックチェーンの運営に貢献しながらその報酬を獲得できるようになりました。

現在の主要なブロックチェーンプロダクト(例えばビットコインなど)は10に満たないマイニングプールにコントロールされていることが多く、51%攻撃などのリスクに晒されています。一方カルダノでは約1000のステークプールで均衡点に達するようにデザインされたインセンティブスキームが導入されており、他プロジェクトに比べて50倍~100倍に分散化されることなります。

Goguen(ゴーグエン) ← 現在開発中

スマートコントラクトの実装(2021年第2四半期予定~)

  • Allegra (アレグラ)(2020年12月~)  トークンロックの導入
  • Mary (メアリー)(2021年3月~)    マルチアセットサポートのアクティブ化
  • Alonzo (アロンゾ)(2021年 9月頃 予定)  スマートコントラクトの実装

プル―タスの構築と実装。上記アレグラとメアリーで、開発者はカルダノ上でネイティブトークンを作成することができるようになりました。そしてゴーグエン期最後のアップデートであるアロンゾが完了すると「スマートコントラクト」が実装され、カルダノ上でDAppsなどのDeFiアプリケーションを構築できるようになります。NFTが発行可能になる機能もリリース予定です。メインネット実装は9月頃を予定しており、2021年に入ってから急速に開発が進められています。

また、IOGは2021年5月イーサリアムのブロックチェーン上で発行されたERC20トークンを簡単にカルダノブロックチェーン上に移行することができる変換ツール「ERC20コンバータ」をテストネット上でリリースしました。テストが完了し正式に採用となれば、イーサリアム上で発行されている様々なトークンがカルダノブロックチェーンに移行される可能性があり、カルダノネットワークがさらに活発化すると期待されています、

Basho(バショウ)

プロトコルの最適化、スケーラビリティの改良、そしてネットワークの相互運用性の開発。

バショウ期では規模の拡大と大量のトランザクションを伴うアプリケーション導入の基盤となるパフォーマンス改善を目指します。ゴーグエン期でスマートコントラクトが実装されると、カルダノブロックチェーンを利用したアプリ・サービスが増加すると予想されるため、その需要増加に対応するためスケーラビリティの改良が必要となります。

そこで大量のトランザクションを処理するため、メインチェーンと相互運用性を持つサイドチェーンを導入しネットワークのキャパシティを拡大するため、メインチェーンからサイドチェーンへ仕事を移すことにより、パフォーマンスの改善に注力します。

Voltaire(ボルテール)

プロジェクトのガバナンスの確立、自給自足型のシステムへ

ボルテールでは「投票システム」と「トレジャリーシステム」が導入されます。まず、トレジャリーシステムで、トランザクション利用料とステーキング報酬の20%が課税されプールされます。そしてこのプールされた資金の使い道をADA保有者がカルダノコミュニティの投票プロセルに従って投票します。これにより、カルダノコミュニティは投票権を使ってネットワークの将来の開発に影響を及ぼす決定に参加することができるようになり、コミュニティが望むプロジェクトに資金提供が行われるようになります。

しかし、いきなりコミュニティに意思決定を任せるのはリスクが大きすぎるため、Project Catalyst (プロジェクト・カタリスト)という実験的なパイロットプロジェクトがバイロン期に入る前から行われており、最近のFund4では200を超える提案がなされ、6月15日に投票開始、結果56のプロポーザルに資金が提供されました。(次のFund5に投票するには事前に投票登録が必要です。)

このように、カルダノは完全なる非中央集権体制を目指しています。現状は設計・構築・管理をIOGが行い、監督・管理をカルダノ財団が行っています。これをボルテール期にネットワークを真に分散化させた後、すべてがコミュニティへと引き継がれます。ユーザー・開発者・企業など、カルダノに参加する多くの人々がカルダノネットワークを構築・管理する自給自足型のシステムへと変わるのです。

カルダノロードマップ公開中

開発計画はカルダノロードマップが公開されています。仮想通貨にしては珍しく日本語でも書かれていますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

 

カルダノはこんなこともやっている―アフリカ関連プロジェクト―

カルダノは数年前からアフリカ地域でのカルダノブロックチェーン活用に向けた取り組みを進めています。カルダノはアフリカの人々が抱える課題をブロックチェーンアプリケーションを使って解決しようとしています。そのプロジェクトの一つをご紹介します。

エチオピア政府「カルダノ基盤の分散型IDソリューション」教育分野で活用へ

カルダノはエチオピア政府との取引により、カルダノブロックチェーン上に構築された分散型IDソリューションである「Atala PRISM」を同国の教育分野で活用していくことを発表しました。『ブロックチェーン上で生徒と教師のID情報と達成度を記録するシステムを実装することによって、学校の成績をデジタル形式で確認できるようにすると共に、学校の成績をリモートで監視して、全国の教育と雇用を促進する』と説明されています。

学校3500校・生徒500万人・教師75万人に適用されます。学生には「ブロックチェーンで証明されたデジタル資格」が付与されることになるため、就職活動などを行う際には雇用主などが第三者機関を介さずに就職希望者の成績を確認できるようになります。

また「カルダノ基盤の分散型IDソリューション」は教育分野以外でも活用できるものとなっているため、将来的にはその他の業界(農業や金融等)やアフリカの他の国・地域でもこれらのソリューションが広く活用されていくと期待されています。

AtalaPRISM(アタラプリズム)とは?

カルダノをベースに構築された分散型IDソリューション。自分のデジタルアイデンティティとデータを自分で所有し、所有権を保持しながらすべてのプラットフォームで使用することができます。

カルダノチームは「アフリカ地域での本格的な技術活用」に向けて、この他にも複数の取り組みを進めています。

 

まとめ

カルダノの技術開発は今も順調に進んでおり、それに伴い価格も上昇しています。技術的にも有望なプロジェクトであり、開発ロードマップを終えたときが、むしろ本当のカルダノの始まりとなるでしょう。果たしてイーサリアムを超えることができるのでしょうか。

イーサリアムに比べて価格も安く、ステーキングもできるので長期投資として考えてみるのも面白いと思います。(投資の判断は自己責任にてお願い致します。)

 

【関連サイト】

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