基礎知識

仮想通貨(暗号資産)におけるエコシステムとは?

仮想通貨の記事を読んでいるとよく「エコシステム」という言葉を目にしませんか。この「エコシステム」とは何を指すのでしょうか。何となくわかるけど意味が曖昧だなと思う方のために。

エコシステム(Ecosystem)とは?

「エコシステム」はもともと生態系を意味する英単語ですね。生態系と言えば、食物連鎖の図を思い浮かべませんか?

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こんな感じ↑ですね。

エコシステムは上図のように、微生物を虫が食べ、その虫を動物が食べ、その動物の排泄物から植物が栄養を吸収し、その植物がまた微生物によって土に帰る、そういった循環を指しています。このように同じ領域に暮らす生物たちがお互いに依存しあって生きていることをエコシステムと言います。

ビジネスにおけるエコシステムとは?

ビジネスにおけるエコシステム(事業生態系)はこのような自然界のシステムをビジネスの状況に重ねて、業界のそれぞれのサービスがお互いに連携しあうことで、お互いに利益を享受しお互いの存在を支えていく、その連携関係全体を指しています。

自然界に暮らす生物がただ一つの種だけで生きていくことができないように、近年のIT技術の発達でビジネスにおいてもすべてのプロダクトやサービスをひとつの会社だけで完成させることが難しくなっています。そのため、企業同士がお互いに参加者(プレイヤー)として協力しあい、それぞれがお互いの利益に貢献できるようなエコシステムが必要とされています。

すべての産業、企業にエコシステムの構築が有効かというとそういうわけでもなく、例えばかつての自動車産業のように一つの工場内で素材の生産から自動車の組み立てまでを行う生産システムを作り、低コストでの大量生産をする方が向いているようなケースではエコシステムが形成されない場合もあります。

しかし急速な技術の発展とグローバル化の中で、現在、特にITや通信業界では、大手企業であっても1社では競争力を保てなくなりました。世界中のいろいろな企業がそれぞれの技術やサービスモデルを持ち寄り、共存共栄と相互作用をしながら成り立つ全体の大きなシステムを形成するようになっています。例えばAppleやクラウド、シリコンバレーは巨大なエコシステムを形成しており、その影響力は世界中に及びます。エコシステムの例は非常にたくさんありますが、ここではその中のアップルの例を見ていきましょう。

エコシステムの例:アップル

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アップルの現在の主な収益源は、iPhoneやiPadのデバイスの販売ですが、例えば、iPhoneでは、内臓カメラ、スクリーン、組み立て、販売など、多くの企業が携わっています。

また音楽・動画配信サービスのiTunesやアプリストアのApp Storeといったプラットフォームを通じて様々なアプリやコンテンツを提供するために多くの開発者や企業群をエコシステムの中に取り込み、アップル帝国の経済圏(エコシステム)を形成しています。

このようにエコシステム・リーダーであるアップルが中心となりエコシステムを作ることによって、デバイス、ソフト、サービス、を一体的に提供できるようになり、消費者の満足度を高めることにつながっています。

仮想通貨(暗号資産)におけるエコシステムとは?

先述のようにエコシステムとは特定の領域の中でお互いに参加者として協力しあい、それぞれがお互いの利益に貢献できるような関係にあるグループを指します。領域の設定次第では、ひとつのブロックチェーン・プロジェクトが複数のエコシステムに含まれたり、大きなエコシステムの中に小さなエコシステムがいくつも含まれている場合もあります。また常に進化を続けるこの業界においてそのエコシステムも常に変化・成長を続けていますので、継続的なアップデートが必要になります。

仮想通貨におけるエコシステム

仮想通貨におけるエコシステムといえば、取引所、マイニング、プール、ウォレット、送金システム、ICO…といったことをひっくるめた、仮想通貨を普及させるための土台すべてが含まれます。

下記のチャートは暗号通貨(仮想通貨)エコステムのイメージです。実に多くの参加者によってエコシステムが構築されていることがわかるでしょう。

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イーサリアムのエコシステム

ほとんどの通貨がそれぞれのエコシステムを構築していますが、エコシステムの時価総額が大きいのは、やはりイーサリアムです。特にDeFiの分野ではその数も時価総額も群を抜いています。現在237のDeFiプロジェクトがありますが、そのうちの219がイーサリアム上で構築されています。(2021年7月7日現在)

イーサリアムに関連するもので、イーサリアム・コミュニティに還元するような活動はすべてエコシステムに含まれ、フロックチェーンであるイーサリアムの成長に貢献しています。

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こちらは「イーサリアム・エコシステム」の中の「イーサリアム・ディファイ・エコシステム」

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エコシステムが大きくなればなるほど、複雑になってきますね。

ポルカドットのエコシステム

最近話題のポルカドットもそのエコシステムを拡大中です。ポルカドットは個人的にも注目している銘柄ですので、ご紹介しておきます。

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