仮想通貨コラム

2023年注目のDAO暗号資産プロジェクトは?

DAO(分散型自律組織)とは?

DAO(ダオ)とは「分散型自律組織(Decentralized Autonomous Organization)」の略称で、特定の管理者がいなくても、事業やプロジェクトを推進できる組織を指しています。

DAOの特徴

1.中央管理者がいない

DAOの大きな特徴は中央管理者がいないということです。特定のリーダーは存在せず、その運営方針はコミュニティメンバーの総意(投票活動)によって決定されます。会社のような縦型の組織でなく、運営する側と参加する側が対等なフラットの関係です。権力が分散しており、皆で意見を出し合いながらプロジェクトを進められる組織です。

2.DAOは自律的である

DAOは、スマートコントラクトを用いてあらかじめ決められたルールで運営されます。スマートコントラクトは、ブロックチェーン上でプログラムされた契約であり、条件が満たされると自動的に実行されます。そこに人間の介入はありません。そのため、メンバーが退会したり、参加できなくなったりしても運営を継続できます。DAO のプログラムは引き続き実行され、設定されたルールに従って DAO を管理します。このようにDAOは自律的に運営されています。

3.DAOはどのように機能するか?

DAOのルールはコミュニティによって投票され、DAOのスマートコントラクトに書き込まれます。投票には、ブロックチェーン上のトークンが使われ、トークンの保有者は誰でもDAOに参加できます。投票に基づいた民主的なプロセスを通じて、資産取引やどのプロジェクトが前進するかなど様々な決定が下されます。

DAOのメリット

参加者全員が平等な立場

参加する側が運営する側に命令されるのではなく、メンバー全員が平等に参加し、意見を出し合って組織を運営できます。国籍や年齢、性別に関係なく、様々な意見が出され議論されることはDAOならではのメリットと言えるでしょう。

高い透明性

DAOの取引はすべてブロックチェーンに記録され透明性の高い取引が可能です。多くの場合、そのソースコードを公開し、誰でもアクセスできるようにしています。この透明性により、中央集権的な組織が不当に利益を得たり、何者かが不正を働いたりすることはできません。また、Discordなどのチャットツールで、後から参加したメンバーが過去の議論を調べ、トランザクションを柔軟に追跡できるようになっています。

効率の向上

仲介者が必要ないため、従来のビジネスモデルよりも効率的で費用効果が高い可能性があります。これにより、アイデアの迅速な実装や開発サイクルの短縮、コストの削減が可能になります。

経済的リターン

運営に貢献するメンバーに対し、ガバナンストークンが割り当てられるなど、報酬が公正に付与されます。有名なガバナンストークンは取引所でも売買可能で、発行上限があることから、プロジェクトが認められトークンの人気が上がると、トークンの価格が上昇する傾向にあります。このようにDAOの参加者には、トークン付与によって大きな経済的リターンが期待できます。

DAOのデメリット

組織としての意思決定が遅くなってしまう

分散型のため、決定には全員の意見が必要です。そのため、メンバーが意見を出し合い全員の合意が得られるまで決定が遅れることがあります。

ガバナンスの欠如

DAOは自律的であるため、何か問題が発生した場合に即座に決定を下す人がいません。これは、DAOのメンバー間で混乱や意見の相違につながる可能性があり大きなリスクとなり得ます。

セキュリティリスクがある

もしスマートコントラクト上で作られた自動実行プログラムに少しでもバグやエクスプロイトがあれば、ハッカーが資金にアクセスでき資金が盗まれてしまうというリスクがあります。DAOには強力なセキュリティ基盤が必要です。

法整備

DAOは近年誕生した組織形態であるため、既存の法律の管轄外で運営されている国も多く、まだまだ各国の法制度が追いついていない状況です。このことがDAOを軸としてプロジェクトを立ち上げる際の障壁になる可能性があります。

DAOの例

DAOにはさまざまな種類がありますが、代表的な例は次のとおりです。

ビットコイン

ビットコインは、特定のリーダーがいなくとも、世界中のマイナーたちによるマイニング活動によってブロックチェーンネットワークが維持・管理されています。

MakerDAO(メイカーダオ)

MakerDAOはイーサリアムブロックチェーン上に作られているプロジェクトで、イーサリアムを預け入れることでステーブルコインであるDAI(ダイ)を発行するというスマートコントラクトがコード化されています。

ユニスワップ

ユニスワップは、イーサリアムブロックチェーン上に構築された分散型取引所です。中央管理者は存在せず、ユーザー同士が暗号通貨を直接取引をしています。取引はスマートコントラクトで自動化されており、コミュニティではガバナンストークン「UNI」が発行されています。

2023年注目のDAO暗号資産プロジェクト

Megaverse Postが発表した2023年注目のDAO暗号資産プロジェクトトップ10をご紹介します。【参考リンク】今年注目のDAO銘柄トップ10

1.RobotEra(ロボットイーラ)

RobotEraは、イーサリアムのネットワーク上で動作する機密性の高いメタバースゲームプラットフォームです。ユーザーはメタバースの中で仮想の不動産NFTを購入したり、所有することができます。また、自分自身のゲームや経験を作り自分専用の仮想世界を建設することができます。

プロジェクトの管理はDAOによって行われますが、ユーザーが使いやすいインターフェイスを介して誰でも数回クリックするだけで独自のDAOを構築、展開、および管理できるようになっています。

トークン販売プラットフォームや自動ガバナンスシステムなど、印象的な機能があり、また、ユーザーが個人データをブロックチェーンに安全に保存できるようにする独自の分散型IDサービスも備えています。

ERC-20トークンであるTAROを発行しており、プラットフォーム上のサービスを購入するためのユーティリティトークンとして使用されています。イーサリアム財団やWaves Platform、MakerDAOなどの組織とパートナーシップを結んでいます。

2.Lucky Block(LBLOCK)

Lucky Blockは、ユーザーがパズルを解くことで競争して賞金を獲得できるようにするブロックチェーンベースのプロトコルです。ブロックチェーンの強みを生かし、より公平で透明性の高い賞金抽選を提供すると同時に、多くの参加者に対して当選確率を上げることを目指しています。

プラットフォームのネイティブトークンはERC-20トークンであるLBLOCKで、チケットの購入や賞金の分配などに使われます。また分散型自律組織(DAO)の作成も可能で、プラットフォームはこのLBLOCKによって運営されています。

イーサリアムの創設者であるヴィタリック・ブテリンや著名なベンチャーキャピタル企業など、経験豊富な業界のベテランがプロジェクトを支援しています。現在Telegramには47,000人以上のメンバーがいます。

3.DAOStack (GEN)

DAOStackは、分散型自律組織向けのオープンソースプラットフォームで、シンプルでユーザーフレンドリーなインターフェイスでDAOの作成および管理ができます。(スマートコントラクトを使ってDAOを構成し、また運営するために必要な機能を提供するツール)

DAOStackは、スマートコントラクトを使ってDAOを構成し、また運営するために必要な機能を提供するツールシンプルでユーザーフレンドリーなインターフェイスでDAOの作成および管理ができます。ERC-20トークンGENが発行されており、プラットフォームの強化とユーザーにインセンティブを与えるために使用されています。

DAOStackは、Pantera Capital、Blockchain Capital、Outlier Venturesなどの主要なブロックチェーンベンチャーキャピタル企業によって支援されており、またヴィナイ・グプタやギャリック・ハイルマン博士などの著名人らがアドバイザーになっています。

チームは現在、開発者が独自のDAOを簡単に構築できるようにするGenesis Alphaプラットフォームを構築していて今年後半に発売される予定です。初めてのトークンセールが近く予定されていて非常に良い投資となる可能性があります。

4.Holo(Holochain / HOT)

Holoは、P2Pアプリケーションを構築するためのオープンソース・フレームワークです。ユーザーは使っていないコンピューター容量を貸し出すことで報酬を得ることができます。これにより中央集権企業(GoogleやMeta等)のサーバーを使う必要がなくなりHolochainコミュニティは高速・安価で多くのウェブアプリにアクセスすることが可能となります。

Holoはブロックチェーンを使用せず、独自のブロックチェーン「Holochain」に分散ハッシュテーブル(DHT)を利用しています。ユーザーはHolochainを使用してhApp(Holochain Application)を作成することができます。

ERC-20トークンである独自通貨HOTが発行されています。Holochain上でアプリケーションを提供したり、ストーレッジや処理能力を提供している人にはHoloFuelという通貨で支払われ、HoloFuelは、HOTトークンと1:1の割合で交換することができます。

Holochainには多くの可能性があり注目する価値はあるでしょう。

5.Polygon(MATIC)

Polygonは、開発者がブロックチェーンアプリケーションを構築および展開できるようにするイーサリアムスケーリングソリューションです。サイドチェーン、シャーディング、レイヤー2プロトコルなどの一連のツールを使用して、「イーサリアムブロックチェーンのインターネット」を作成します。このプロジェクトには独自のERC-20トークンであるMATICがあり、Polygonネットワークでの料金の支払い、ステーキング、およびガバナンスに使われます。

Polygonの支援者には、Coinbase Ventures、Binance Labs、Polychain Capitalなど大手が名を連ねています。またTelegramには50,000人以上のメンバーで強力なコミュニティが作られています。

ポリゴンは多くの可能性を秘めており、今年の主要なイーサリアムスケーリングソリューションの1つとなるでしょう。ポリゴンは現在、メインネットの立ち上げ過程にあり今年後半に準備が整う予定です。

最後に、ポリゴンは、非代替トークン(NFT)を作成および取引するための分散型プラットフォームであるNFT blockとの統合を発表しました。この統合により、開発者はポリゴンネットワーク上で独自のトークン化されたアセットを作成して発行できるようになり、主要なNFTプラットフォームになる可能性があります。全体として、ポリゴンは大きな可能性を秘めた非常に有望なプロジェクトですので、引続き注目する価値があるでしょう。

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6. Kadena (KDA)

Kadenaは、DAppsの開発ができるスマートコントラクト・プラットフォームです。KadenaのコンセンサスアルゴリズムはPoWですが「Chainweb」という技術によりPoWの高セキュリティとPoSのスケーラビリティを組み合わせたように、高速処理を低負荷で行うことが可能となっています。また、Pactと呼ばれる独自のスマートコントラクト言語が用いられ、読みやすく、オープンで透明性の高い開発が可能です。

Kadenaは、JPモルガンでブロックチェーン研究グループを率いていた、スチュアート・ポープジョイ氏とウィル・マティーノ氏というブロックチェーン技術の中枢人物が創設者となっており、またブロックチェーンの生みの親とも言われるスチュアート・ハーバー氏がアドバイザーとなっています。このようにKadenaは、非常に著名な開発者が参画しているということでも注目されており、将来的な成功に期待が持てます。

7. Avalanche(AVAX)

Avalancheは、DAppsの開発ができるオープンソース・プラットフォームです。Defiに特化するブロックチェーンとして開発、ローンチされました。低コストと高い決済処理速度、そしてイーサリアムとの互換性を持つことが強みです。またNFT作成機能がプラットフォームに組み込まれています。

AVAXはAvalancheのネイティブトークンで、ステーキングや手数料の支払等、ユーザーにインセンティブを与えるために使用されます。このプロジェクトのチームにはEmin Gün Sier(ブロックチェーンプラットフォームTezosの共同創設者)を含む経験豊富な開発者とアドバイザーが在籍しています。Avalancheは非常に有望なプロジェクトであり、DeFi開発に興味がある場合は間違いなく検討する価値があります。

アバランチ(Avalanche/AVAX) とは? -特徴や将来性を解説-アバランチは、ビットコインやイーサリアムと同じレイヤー1のパブリックチェーンです。アバランチはその処理性能の高さを生かし、低コストかつス...

8. Near Protocol

Near Protocolは、DAppsの開発ができる高性能ブロックチェーン・プラットフォームです。高速処理を実現するために、イーサリアム2.0の研究に基づいたナイトシャードと呼ばれるという仕組みを導入し、環境負荷を下げることで、スケーラビリティ問題の解決も目指しています。

NEARはNear Protocolのネイティブトークンであり、ネットワークを強化し、ユーザーにインセンティブを与えるために使用されます。このプロジェクト・チームには、Casey Detrio(暗号通貨取引所Binanceの共同創設者)を含む経験豊富な開発者やアドバイザーが参加しています。また、すでにサムスン、マイクロソフト、クルーガーベンチャーズなどのいくつかの企業と戦略的パートナーシップを締結しています。

NEAR Protocolは、高速かつ処理能力も高く、イーサリアムなど他の通貨以上の可能性を秘めた非常に将来に有望なプロジェクトです。ブロックチェーン開発に興味がある場合は間違いなく投資を検討する価値があるでしょう。

9. ICON(ICX)

ICONは、韓国発のスマートコントラクトを実装した分散型のブロックチェーン・プラットフォームで、さまざまなブロックチェーンを接続するように設計された相互運用性に焦点を当てています。イーサリアムとの相互運用のほか、様々なチェーンとの相互的な運用が可能になっています。現実世界でブロックチェーンをもっと活用していくためのプロジェクトで韓国国内ではすでに銀行、証券、保険、病院、大学、E-Commerceなど多様なコミュニティとつながっています。

ネイティブトークンはICXでステーキングや手数料の支払等に使用されます。革新的なテクノロジーと具体的な採用・提携が進んでいることから将来有望なプロジェクトと言えます。

10.Solana (SOL)

Solanaは、DAppsの開発ができる高性能ブロックチェーン・プラットフォームです。高速処理、低コストで運用できるため、トランザクション処理をレイヤー1のみで完結できます。プルーフオブステークと呼ばれるコンセンサスメカニズムを利用し、タワーBFTと呼ばれる独自のコンセンサスアルゴリズムを使用しています。Proof of History(PoH)という技術がこのコンセンサスアルゴリズムを支え、高速処理を実現しています。また、他のブロックチェーンと相互運用できるインターオペラビリティの機能があり、Wormholeというクロスチェーンブリッジも開発されています。

ソラナのネイティブトークンはSOLです。ソラナはますます注目を集め続けており、Google Cloud、Parity、Krakenなどのいくつかの企業と戦略的パートナーシップを締結し、その将来性が大きく期待される非常に有望な銘柄です。

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まとめ

DAOとは中央管理者がおらず、ブロックチェーン上で管理・運営が行われる「分散型自律組織」のことでした。

DAOは、近年、DeFi市場で活用されたり、NFTやメタバースと関連づけられたりして注目度はますます高まっていますので、今後の動向にも要注目です。カバナンストークン自体の価格が大きく上昇すれば、投資対象としても大きな注目を浴びるでしょう。興味のあるDAO関連銘柄を是非チェックしてみてください。